令和5年2月25日、練馬区立南ヶ丘中学校にて『HUG訓練』に参加!
今回の訓練の最大の趣旨は
的確な判断と迅速な対応で避難者を適切な場所に配置し、避難拠点で『震災関連死』を防ぐ!!
ことです!
というのも、これまでの大規模災害でピーク時にどれくらいの人が避難所生活をしていたかご存じですか?
・阪神・淡路大震災 316,678人(地震発生から6日目)
・東日本大震災 468,600人(地震発生から3日目)
練馬区の人口が約74万人と考えると、約半数の人が避難所で生活をしていたことになり、その多さに改めて災害の恐ろしさを感じます。
そして更に問題なのは『災害関連死』です!
建物の倒壊や火災・津波などの直接的な被害ではなく、その後の避難生活の中で、過度のストレスから体調悪化や過労、エコノミー症候群(静脈血栓症)などの間接的な原因で死亡することです。
こちらも過去のデータを確認してみましょう。
阪神大震災の兵庫県の死者数…直接死:5,483人(85.65%) 関連死:919人(14.35%)
東日本大震災の死者数 …直接死:19,225人(76.80%) 関連死:3,194人(12.76%)
行方不明者:2,614人(10.44%)
約1割強の方が『災害関連死』によって亡くなられています。
今を生きる私達は、過去の震災から学び課題を克服し対策を練ることができます。
今回のHUG訓練では、この『災害関連死』という課題克服に向け訓練をしました。
そもそも『HUG訓練』って???
『H(避難所)U(運営)G(ゲーム)』のことで、平成19年度に静岡県が開発した防災ゲームです。
避難者の年齢、性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所に見立てた平面図にどれだけ適切に設置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームとなっています。
今回はゲームということで、1つのカードにつき1~2分考える時間が与えられましたが、実際の災害時にはそれよりももっと迅速な判断が必要な為、そのあたりも意識して訓練が行われました。
- 使用するもの
- 避難者カード、イベントカード、備蓄カードの3種類
- 避難所に見立てた平面図
- 付箋、ペン、気づいた点を記載する紙
早速ですが、やり方を流れに沿ってみていきましょう!
①進行役が読み上げたカードと同じカードを取り出し、指示を実行します。
今回は「イベント1:施設利用計画を決める」となるので、本部や体育館、傷病者の手当場所(応急処置室)などの場所を確認。
マニュアルを参考にしながら、受付を開設する為に必要な道具のカードを適切な場所に設置します。
②そうこうしていると、進行役から避難者の指示がでます。避難者の条件は「長男がいつもより元気がない。熱はない。」という条件付きの4人家族の石(しゃく)さん一家。
熱は無いということで、体育館で家族全員で待機してもらうことにしました。
③続いて、避難者の条件は「母の応急処置をしてほしい」という家族3人。母は応急処置室へ、残りの二人は高齢者ということで第2体育館に誘導しました。
④といった感じで、様々な条件や状況が書かれたカードを元に、的確な判断と迅速な対応によって避難者を誘導していきます。
途中、気づいた点や疑問点、悩んでいる点などをメモし、総括時に情報共有を行うとともに、適切な判断のためのアドバイスを頂きました。
【総括時に出た意見と回答】
・避難拠点開設のタイミングは?
⇒ 南ヶ丘中学校避難拠点の場合は、練馬区避難拠点要員の班長(運営責任者)の
判断による
・誰が運営スタッフか分かる目印は?
⇒ ゼッケン12個備蓄(今後買い足す予定)、その他ジャンパーを備蓄
・避難者の中にも元気で動ける人は共助の考えで動く必要ありでは?
⇒ 家が無事でも、元気避難者として避難拠点に来て運営に協力してもらえるように
区からも周知に力を入れている。是非、協力をしてもらいたい。
・濃厚接触者や感染疑いの人は、専用通路や専用部屋を設け、他の人との交差接触が無いように配慮
⇒ コロナ陽性者については、練馬区の決まりでは自宅待機なので避難所にはそもそも来ないという考え
・避難拠点での車やテントの使用は?
⇒ 避難拠点では原則禁止です。
・「不衛生な方」という部屋の表記は変えたほうが良いのは?
⇒ 練馬区では、「不衛生な方」=「ゴミ屋敷の方」という認識。
これまでの経験からゴミ屋敷に住んでいる方は避難拠点には来たがらない。
また、練馬区にはホームレスはほぼいない。
・車椅子や高齢者の方のトイレ問題に配慮し、バリアフリーのトイレに近い場所に新たに待機場所を配置
⇒ 災害対策用の青いトイレも、車椅子の方の為にバリアフリーで使用できるので活用してください
★人口呼吸器の方のために
人口呼吸器を使用している方の為に、優先的に充電ができるよう保健相談所にて『充電優先証』を発行しているとのこと。是非、まだ取得していない方がおりましたらお問い合わせください。
≪訓練を受けて≫
実際に訓練に参加してみると、自身が想像していた以上に、様々な条件が重なり合うと迷いが生じ、的確かつ迅速な判断が難しいと実感しました。特に、昨今の感染症が絡むと本当にあの配置でよかったのか、何度も考え直す場面がありました。
また、災害時ともなると、助け合いの精神から何でも要望を受けてあげたいという思いになりますが、原則禁止事項は徹底し、ルールを守り、イレギュラーな対応を増やさないことも避難拠点を正常に保つ為には重要だと感じました。
HUG訓練は、非常に実践的で自身の防災力を高める上で有効な訓練であることが分かりました。同じ班だった副校長先生も是非中学生にも実施し、災害時に避難所を支える重要な存在になって欲しいと仰っていました。
今後もHUG訓練に多くの方が参加され、地域全体で防災力を高め共助していけるよう、行政と一体となり防災・減災に取り組んで参ります!